聖闘士星矢Ω @評価レビュー

あの説明口調の多い熱血アニメ　セイント星矢。
とてもいいアニメだった・・・。
こんかいオメガを見てみた。
星矢が出てきたとき、「やっぱり星矢はサジタリウスになったのか！！」
とちょっとワクワクしたんだけどな。
だったら氷河はアクエリアスで、紫龍はライブラとかになってるのかな・・・、とか思って。
でも、なんと星矢はペガサスのゴールドセイントだった！！！
なぜにペガサスのクロスがゴールドに！？
そんなお話だったのか・・・、知らなかった・・・。
しかし、やっぱりゴールドは十二星座だけにしてほしかった。
そんでもってペガサスはあくまでブロンズ。

まあ、あとで元に戻ったみたいだけど。

簡単に言えば、かなり若年層向けのセイントセイヤ。

原作版のような劇画染みた泥臭さもなく、手代木作品（THE LOST CANVAS 冥王神話）のような繊細で大人びた心理描写も見受けられない。

序盤から原作の懐かしいキャラたちを登場させることによって、その関連性と続編的な様子を演出してはいるが、もうここまで来るとやはり別物。

というのも、クロスに「光」や「水」といった自然界の属性が備わっているとか、そのクロスがセイントの身につけるペンダント等のアクセサリーに呼応して装着されるとか、どう考えても『玩具化を狙った意図』過ぎて、原作世界観から逸脱しまくっている。

現状では、友情、努力、勇気といった、王道かつ平凡なメッセージしか伝わってこない作品なので、「やっぱ玩具で儲けたいだけか」としか思えまへん。

とりあえずこれまで放送された分は全部チェックしています。
原作と比べて幾つか感じたことを。

・設定が酷い
新しい設定を追加して作品として新しいモノにしようとする意図はわかるが、その内容があまりにもチープすぎるし前作を全く踏襲していない。
属性については10～20年前に流行った設定であり、某FFゲームと酷似しすぎている。聖闘士を育成する学校って言うのにも違和感。クロストーンは気にくわないが、許容範囲。

・ストーリーが酷い
ストーリーに関しても10～20年前のゲームをアニメ化したような感じ。各属性のクリスタルを破壊していく点等、そのまんまではないかｗ
他にも黄金聖闘士は2人しか生き残っていないみたいな事を言ってたはずが、翌週には12人揃っているなど、場当たり的な脚本を書いているのがよくわかる。
チョイチョイ原作の青銅聖闘士を登場させるのが狙いすぎててイヤラシイ。

・作画が酷い
今時の子供たち向けの顔なんだろうけど、聖衣がペラペラだし、遠めになった時の顔なんかも酷い。
細かく書き込めとは言わないまでも、手を抜きすぎ。
空中に浮いた12宮が、これまたどこかで見たゲーム（ロマサガ）にそっくりでガッカリ。

・オープニングはかっこよかったｗ
ペガサスファンタジーverΩは正直良かった。ただ、それも変わってしまい、良いところが無くなってしまった・・・

・総評
原作を大切にしていなければ、新設定やストーリーもどこかからパクッてきたようなオリジナリティの欠片も感じない、素人が作った同人漫画レベルだという感想です。
今作から見る小さな子供達は楽しいと思うかもしれませんが、それなら別タイトルでやって欲しかった。
原作が好きな人ほど拒否反応を示す作品になっていると思います。黒歴史として存在自体が無かった事にして欲しいと本気で願う作品です。

一応20話をすぎるまで見てきましたが、もうここが限界です。
基本的に作品の評価は個人の好みと思っているので、
公に酷評することは滅多にないのですが、これは流石に一言述べたいです。

まず、散々言われてますが、作画は実にひどいです。
キャラに関してもいろいろと言われてますが、
特にこのクロスの酷さは何なんでしょう。
一言で表すなら、色つきのアルミホイル、でしょうか。ゴールドクロスですらとても金属には見えません。（アルミホイルも金属ですが、察してください）
粘土細工のような某ゴールドクロスを見たときは相当凹みました。
過去作を通じて威厳を醸し出していた面影はありません・・・
この作品の華であるクロスをまともに描く気がない時点でありえないと思います。

シナリオに関しては、どこが悪いというよりは、いいところが見当たりません。
キャラの成長を描きたいのだと思いますが、
無理矢理にテンプレの展開に持って行かせすぎてセリフが薄すぎます。
テンプレの展開や熱血の描写は好物な自分ですが、この作品を見てるとむしろ寒すぎて痛々しい。
車田作品特有の芯が通ったキャラ性もなく、どのキャラもブレ過ぎて、
原作と比べると恐ろしい程の薄っぺらさを感じます。

声優さんに関しては、上手い下手以前にあってないとしか。
少なくとも、主役格のメンツに下手な声優さんはいないと思いますが、
キャラに対して浮いて見えるのは、シナリオと相まって起用側の問題です。

設定のブレ具合にも「ああ、背景となる世界観全く考えないんだな」と感じさせられます。
例えば、原作の続きとして考えるなら、
星矢のクロスは、あれはゴールドクロスじゃなくてゴッドクロスの方がしっくりくるんじゃないでしょうか。
ゴールドクロスが黄道12星座である理由は原作ではちゃんと語られていましたし、ペガサスのクロスが「ゴールドクロス」になる理由が全く見当たりません。
どうしてもゴールドにしたいならサジタリウスもあるでしょうに。
出した設定を数話後に覆すとかも真剣に見る気が萎えます。
ネタバレになるので細かくは言いませんが、原作や派生作品で、ライブラのクロスが特別な理由なんでしたっけ？とか。

細かいことをひたすらチクチク言うのは野暮と言うものでしょうが、
流石に限度があると思います。
原作の設定を全部放り投げて、名前だけ借りて商業目的に使うような起用をする二次創作が許されていいとは思えません。

人気作品として過去様々な媒体で描かれてきましたが、
これほど中身のない派生作品は初めて見ました。

例えば最近ではチャンピオンで作家さんを変えての連載もありましたが、
神話時代から続く原作の流れをよりクローズアップしたシナリオと、
実に繊細なクロスの書き込み、セリフや描写は現代作品に沿った表現で
原作とはかけ離れた作風ながらも「ああ、これもありかな」と思えましたが、
これはその対極と言ってもいいんじゃないでしょうか。

既存作品をリメイク・スピンオフ等するなら、
その原作がどういう作品なのかをきちんと考えて、
それを活かすのは大前提ではないでしょうか。